« 2005年10月 | メイン | 2005年12月 »

2005年11月30日

騙される快感(2)

最初から最後まで、どれをとっても面白い短編集と言うのはそうはありません。
しかし、この本はそのうれしい「例外」なのです。

戻り川心中
戻り川心中
posted with amazlet on 05.11.30
連城 三紀彦
講談社 (1983/01)
売り上げランキング: 554,308
おすすめ度の平均: 5
5 あくまで主人公は花のつもりです(作者談)。
5 叙情派ミステリの極み

美文調で語られる、浪漫に溢れた物語でありながら、驚愕のミステリでもあります。
すべての短編に特上の驚きが用意されています。
美しい驚きを提供してくれる至福の短編集なのです。
連城 三紀彦の初期短編は傑作ぞろいで、書店で手に入らなかったとしても古書店などで探すだけの価値のあるものばかりです。
自信を持っておすすめします。

この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月28日

「読み心地」を追加しました

その本の「読み心地」の目安を表示するようにしました。
それぞれのエントリのカテゴリとして、表示されています。
また、「読み心地」カテゴリの下の「読み心地」から本を探すことも出来るようになりました。サイドバーのカテゴリから、辿ってみてください。。
本を選ぶ時の参考になればと思います。

ゆるやかな時間

刺激を求める読書は楽しいものです。ミステリやSFなどのエンタテイメントから、時代小説などなどわくわく、どきどきの興奮は、小説を読む楽しみでしょう。
しかし、めまぐるしく動いていく日常から、少し離れてゆるやかな、穏やかな時間を小説で感じると言うのはいかがでしょうか?
家でのんびりできる休日などに、日向で、紅茶を片手にする読書は、とても癒されます。
そんな時間にぴったりの小説が、こちらです。

季節の記憶
季節の記憶
posted with amazlet on 05.11.28
保坂 和志
中央公論新社 (1999/09)
おすすめ度の平均: 4.33
4 ずっと読める
4 育児書として一家に一冊
5 びっくり


この小説では、事件らしい事件は何も起こりません。
ゆるやかな時間の中で、登場人物が生活をし、話し、考えています。
ただ、それだけの小説なのに、ちっとも退屈しないのは、その世界、その小説の中の「日常」が、もしかすると、私たちの求めている、欲しかった「日常」だからなのかもしれません。

続編として、こちらもあります。

もうひとつの季節
もうひとつの季節
posted with amazlet on 05.11.28
保坂 和志
中央公論新社 (2002/04)
売り上げランキング: 69,508
おすすめ度の平均: 4.5
4 ご近所の方々。
5 子どもであること、大人であること、を考えさせられる本


二冊あわせて読むことをおすすめします。

なお、この小説に関する作者のエッセイもありますので、小説読了後に、ぜひ目を通してみてください。
季節の記憶

この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月27日

トリックとマジックの幸せな関係

先日、TRICKのスペシャルドラマが放送されていました。
相変わらずのテンポと、謎と笑いで楽しめました。
トリックとミステリはやはり相性がよいのだなと感じさせてくれたドラマでした。

ミステリの世界でも、マジックを取り入れたものが古今東西たくさん書かれています。
その中でも、特におすすめなのがこちらです。

11枚のとらんぷ
11枚のとらんぷ
posted with amazlet on 05.11.27
泡坂 妻夫
東京創元社 (1993/05)
おすすめ度の平均: 4.33
4 マジキ クラブ
4 さすが本職マジシャン
5 気持ち良く騙される快感


自身が奇術師でもある泡坂妻夫の書いた、トリックとマジックが奇跡的な融合をした傑作です。
泡坂妻夫は紋章上絵師でありながら、マジシャンでもあり、ミステリ作家でもあるという、その存在自体がマジックのような人なのです。

「11枚のとらんぷ」は、まずその構造が凝っています。この小説中に、短編集である『11枚のとらんぷ』が入っています。小説の中に小説を入れ込むこのメタミステリ的な手法が最後の衝撃に繋がります。
丁寧で、そして大胆なこのミステリは、それ自体、非常にマジカルな面白さに満ちています。

泡坂妻夫には、この他に奇術師を主人公にした連作短編集もあり、こちらも、おすすめです。

奇術探偵曽我佳城全集 秘の巻
泡坂 妻夫
講談社 (2003/06)
おすすめ度の平均: 4
4 佳城ものの集大成


奇術探偵曾我佳城全集 戯の巻
泡坂 妻夫
講談社 (2003/06)
おすすめ度の平均: 4
4 逸品


この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月10日

騙される快感(1)

ミステリを読む楽しみにはいろいろなものがあります。
探偵のかっこよさ、ロジックの美しさ、トリックの面白さ。
しかし、一番は、騙される快感にあるのではないかと思います。
読みながら真相を推理して、それが最終的に正解だった時よりも、むしろ裏切ってとんでもなく意外な真相が待っていた時の方が喜びが大きいのではないかと思われます。

というわけで、何回かに分けて、「騙される快感」を存分に味あわせてくれるミステリを紹介してみたいと思います。

ホッグ連続殺人
ホッグ連続殺人
posted with amazlet on 05.11.10
ウィリアム・L. デアンドリア William L. DeAndrea 真崎 義博
早川書房 (2005/01)
売り上げランキング: 134,658

最初に紹介するのは、もう、古典の風格もある「ホッグ連続殺人」です。
この作品の真相にはほんとうに度肝を抜かれました。
まだ、この手があったかと、思いました。
ミステリを読みなれている人も、そうでない人にもおすすめできます。
最近、また入手も楽になりましたし、ぜひ読んでいただきたいと思います。

この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月 3日

乙女ちっく少女まんがを読む

今回は「乙女ちっく少女まんが」をご紹介させていただきます。

今現在少女の方、過去に少女だった方、もしくは、少年だったけど乙女ちっくが好きだった方(私もそうだったのですが)。
きっと、いろいろな方が乙女ちっくを好きだった時代があったのではないかと思います。
さて、乙女ちっく少女まんがといえば、

乙女ちっく作家

このリンク先のテキストでも分かるとおり、70年代に黄金時代がありました。
太刀掛秀子先生は、陸奥A子・田渕由美子など、そうそうたる作家が揃っていたのです。
その甘いようなせつないような、胸がきゅんとする独特の世界観はとても大切な宝物として心に残している方も多いかと思います。

今回は、その中でも乙女ちっく中の乙女ちっく。
陸奥A子をご紹介させていただきます。

陸奥A子自選集 (1)
陸奥A子自選集 (1)
posted with amazlet on 05.11.03
陸奥 A子
集英社 (1996/07)
売り上げランキング: 57,679
おすすめ度の平均: 4.33
4 私にとっては
4 昔懐かしい
5 すごくお勧めします。
陸奥A子自選集 (2)
陸奥A子自選集 (2)
posted with amazlet on 05.11.03
陸奥 A子
集英社 (1996/07)
売り上げランキング: 29,808
おすすめ度の平均: 4.33
5 まさに粉雪ポルカ
4 一般社会人になった男性には
4 降る雪や、昭和も遠くなりにけり
たそがれ時に見つけたの―陸奥A子りぼん名作選
陸奥 A子
集英社 (2004/04)
売り上げランキング: 7,872
おすすめ度の平均: 5
5 懐かしい思い出の陸奥A子さま
こんぺい荘のフランソワ―陸奥A子りぼん名作選
陸奥 A子
集英社 (2004/04)
売り上げランキング: 23,684
おすすめ度の平均: 5
5 こんぺい荘に住みたい!
5 こんぺい荘のフランソワ

傑作集だけでもかなりの数が出ていて迷ってしまうのですが、4冊ほどチョイスさせていただきました。
辛い恋愛、ヘビーな恋愛に疲れた時に、こんな乙女ちっくな少女まんがはいががでしょうか?

この本がお口に合うとよいのですが……。