メイン

2005年12月23日

クリスマスに読みたい物語

クリスマスの季節ですね。街のイルミネーションがとっても綺麗です。
今回はクリスマスに読みたい物語をチョイスしてみました。

最後のひと葉
最後のひと葉
posted with amazlet on 05.12.23
オー・ヘンリー 金原 瑞人
岩波書店 (2001/06)
売り上げランキング: 50,969
おすすめ度の平均: 5
5 傑作中の傑作

え? O・ヘンリー? 教科書で読んだ、あの? なんでいまさら?
そんな声も聞こえてきそうですが、みなさんご存知の「賢者の贈り物」は最高にやさしくて、意外性に溢れたクリスマスストーリですよね。「最後の一葉」も非常に有名な物語です。O・ヘンリーと言えばこれしか読んだことがないと言う方も多いのではないでしょうか?
それは、非常にもったいないことだと思います。
O・ヘンリーは大変な短編の名手なのです。他にもたくさんの名作があります。
「勉強」で読むだけではなく、楽しみとしての読書にもきっちり答えてくれる「エンターテイメント」でもあるのです。
大人になった今だからこそ味わえる奥深さもあります。
ぜひ、お試しください。

この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年12月 4日

騙される快感(3)

騙されるのが快感だといっても、ただ、意外な真相を持ち出されても驚きにはつながりません。
そこまでの伏線が緻密に張られていればこそ、驚きは増すわけです。

殺戮にいたる病
殺戮にいたる病
posted with amazlet on 05.12.04
我孫子 武丸
講談社 (1996/11)
売り上げランキング: 3,525
おすすめ度の平均: 4.58
5 我孫子武丸
5 驚異の作品
5 MY BEST BOOK

そこで、この本をご紹介します。
緻密な伏線、驚愕のラスト。
騙される快感を存分に味わえる快作です。
この小説の初版の帯には、こうありました。「犯人の名前は、蒲生稔!」。ミステリで、犯人の名前を明かしてしまって、それでも驚愕の結末がありえるのか? どうですか? 興味がわいてきませんか。
その興味は裏切られることはありません。
驚きと、どきどきのホラーで、サスペンスで本格ミステリ。
ぜひ、お試しください。

この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月30日

騙される快感(2)

最初から最後まで、どれをとっても面白い短編集と言うのはそうはありません。
しかし、この本はそのうれしい「例外」なのです。

戻り川心中
戻り川心中
posted with amazlet on 05.11.30
連城 三紀彦
講談社 (1983/01)
売り上げランキング: 554,308
おすすめ度の平均: 5
5 あくまで主人公は花のつもりです(作者談)。
5 叙情派ミステリの極み

美文調で語られる、浪漫に溢れた物語でありながら、驚愕のミステリでもあります。
すべての短編に特上の驚きが用意されています。
美しい驚きを提供してくれる至福の短編集なのです。
連城 三紀彦の初期短編は傑作ぞろいで、書店で手に入らなかったとしても古書店などで探すだけの価値のあるものばかりです。
自信を持っておすすめします。

この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月27日

トリックとマジックの幸せな関係

先日、TRICKのスペシャルドラマが放送されていました。
相変わらずのテンポと、謎と笑いで楽しめました。
トリックとミステリはやはり相性がよいのだなと感じさせてくれたドラマでした。

ミステリの世界でも、マジックを取り入れたものが古今東西たくさん書かれています。
その中でも、特におすすめなのがこちらです。

11枚のとらんぷ
11枚のとらんぷ
posted with amazlet on 05.11.27
泡坂 妻夫
東京創元社 (1993/05)
おすすめ度の平均: 4.33
4 マジキ クラブ
4 さすが本職マジシャン
5 気持ち良く騙される快感


自身が奇術師でもある泡坂妻夫の書いた、トリックとマジックが奇跡的な融合をした傑作です。
泡坂妻夫は紋章上絵師でありながら、マジシャンでもあり、ミステリ作家でもあるという、その存在自体がマジックのような人なのです。

「11枚のとらんぷ」は、まずその構造が凝っています。この小説中に、短編集である『11枚のとらんぷ』が入っています。小説の中に小説を入れ込むこのメタミステリ的な手法が最後の衝撃に繋がります。
丁寧で、そして大胆なこのミステリは、それ自体、非常にマジカルな面白さに満ちています。

泡坂妻夫には、この他に奇術師を主人公にした連作短編集もあり、こちらも、おすすめです。

奇術探偵曽我佳城全集 秘の巻
泡坂 妻夫
講談社 (2003/06)
おすすめ度の平均: 4
4 佳城ものの集大成


奇術探偵曾我佳城全集 戯の巻
泡坂 妻夫
講談社 (2003/06)
おすすめ度の平均: 4
4 逸品


この本がお口に合うとよいのですが……。

2005年11月10日

騙される快感(1)

ミステリを読む楽しみにはいろいろなものがあります。
探偵のかっこよさ、ロジックの美しさ、トリックの面白さ。
しかし、一番は、騙される快感にあるのではないかと思います。
読みながら真相を推理して、それが最終的に正解だった時よりも、むしろ裏切ってとんでもなく意外な真相が待っていた時の方が喜びが大きいのではないかと思われます。

というわけで、何回かに分けて、「騙される快感」を存分に味あわせてくれるミステリを紹介してみたいと思います。

ホッグ連続殺人
ホッグ連続殺人
posted with amazlet on 05.11.10
ウィリアム・L. デアンドリア William L. DeAndrea 真崎 義博
早川書房 (2005/01)
売り上げランキング: 134,658

最初に紹介するのは、もう、古典の風格もある「ホッグ連続殺人」です。
この作品の真相にはほんとうに度肝を抜かれました。
まだ、この手があったかと、思いました。
ミステリを読みなれている人も、そうでない人にもおすすめできます。
最近、また入手も楽になりましたし、ぜひ読んでいただきたいと思います。

この本がお口に合うとよいのですが……。