2003年08月11日

読書日記

イリヤの空、UFOの夏 その4 秋山瑞人 電撃文庫

「イリヤの空、UFOの夏」完結です。
とても、面白くて一気に読んでしまいました。

で、完結したので、「イリヤの空、UFOの夏」シリーズの感想など。
ただし、ネタばれしちゃうかもしれません。
未読の方はこれ以降は読まないでくださいませ。

[ネタばれ注意]

夏が終わってしまう、寂しさとか焦燥感とか、やりきれなさとかほっとした気分とか、そんな少年の頃の「夏」を見事に描ききっていたと思います。
ラストも賛否両論あるみたいだけど、「去る夏」を描くんであれば、あの結末は避けようがないのかなという気がしました。悲しいけど、でも、あの頃の夏って、なんだかちょっとだけ苦いものだったような気もするのです。

最初、ゆっくりと立ち上がり、のろのろと進んでいったこの物語は、後半怒涛のように夏の終わりに向かって加速していくわけですが、秋山氏の文体はとても効果を上げていたと思います。
くどいほど、ねちっこく書き込まれる過剰なまでの日常は、時々テンポやリズムを崩すこともあったのですが、それがあったからこそ、後半のあのスピードが生きてきたし、書き込まれた日常のディティールがあったからこそ、後半の非日常が日常の地続きとして認識できたのです。

キャラクタ、プロット、文体、そのどれもが完璧な完成度とはいえないまでも、それが渾然一体となり、この傑作が生まれたのだと思います。
うまい小説や、良くできた小説ではなく、人の心を揺さぶる小説。
ほんとに、ほんとに久しぶりに、僕は小説を読んで泣きました。

次回作に期待しています。

#読後の興奮さめやらずなので、ちょっと乱れ気味の文章でごめんなさい。

Posted by CHEEBOW at 2003年08月11日 23:16 | TrackBack
コメント
この記事へコメントする