« ウタカタノヒビ第三回配信始まりました | メイン | CHEEBOWのしおり(2005-08-12) »

2005年8月12日

- speakslyly - section.2 【青と白と海】

speakslyly-G01.gif

このエントリーは、フリートーク企画、speakslylyのエントリーです。
speakslylyについては、こちらを見てください。

yujiro@cool D'zine roomさんからバトンを受けて、section.2の後半戦と参りましょう。
section.2のテーマは、「青と白と海」。


 窓を大きく開け放つと、波の音が部屋を満たした。
 振り返って、ベッドに横たわった彼女の名を呼んでみる。もちろん、返事はなかった。
 今日がこの島で過ごす最後の日だ。僕らのもつれ合った関係は、この島でも修復することは出来なかった。この部屋を出たら、僕らはもう二度と会うことはないだろう。
 僕らが出会い、そして過ごしてきた日々は決して偽りではなかった。できるなら、あの日々に戻りたいと思う。幸せだったあの日々に。
 でも、もう、それは叶わない。
 彼女の体温も、吐息も、大好きだったあの声も、もう失われてしまった。
 長い長い、僕らの旅の終わりはこの島だった。
 窓の外の、海の青と、雲の白。これが、最後の景色なのだ。
「そろそろ、行くよ」
 僕がそう言っても、彼女はなんの反応も見せない。
 彼女と一緒にこの部屋に入った僕は、一人でこの部屋を出て行く。
 もう、彼女とは一緒に歩いていくことが出来ないからだ。
 すでにまとめてあった荷物を手にする。旅行からの帰りの荷物は、なぜいつも来た時よりも重くなっているんだろうなどと、取り留めないことを思う。
 ドアノブに手をかけ、僕は振り返る。
 最後の彼女の姿を目に焼き付けた。

 真っ白なワンピースを着た彼女は、その細い手足を、だらしなくベットに投げ出して横たわっている。
 胸のあたりに広がる毒のような赤と、窓からの太陽の光を受けて輝くナイフ。
「さよなら」
 僕は、ゆっくりとドアを閉め、部屋を出る。
 雲の白と、海の青、そして、血の赤。
 残像を残して、僕はロビーへと向かった。


……って、いきなり小説かよ! しかも短ッ! って感じもしますが、みんなと違うことをできるだけやってみたいお年頃。
叙述に気を使ってみました。でも、成功しているかどうか、非常に怪しい……。

さて、お次は、Border.@我楽さんです。

投稿者 CHEEBOW : 2005年8月12日 12:10 このエントリーを含むはてなブックマーク

[ speakslyly ]
【お知らせ】音楽に関することはこちらのブログで書いています。くじら音楽部::BLOG