« CHEEBOWのしおり(2005-11-18) | メイン | CHEEBOWのしおり(2005-11-19) »

2005年11月19日

- speakslyly - section.4 【おとっときの一冊】

speakslyly-G01.gif

このエントリーは、フリートーク企画、speakslylyのエントリーです。
speakslylyについては、こちらを見てください。

今回は、僕からスタートです。
というわけで、テーマも決めました!
section.4のテーマは、『おとっときの一冊』。
好きな本でも、感動した本でもいいけど、それだけではなくて、大切な大切な自分だけのおとっときの一冊を紹介して欲しいなぁ、と思います。
しかも、紹介できるのは一冊だけ。
こんなルールでいってみましょう!


今までたくさんの本を読んできた。
いつも、バックの中には数冊の本が入っていて、ちょっとの時間があればそれを取り出して読んでいる。
学生時代は、ずっと小説家になりたくて、何度も投稿したし、大学4年の時に担当さんがついて、デビューまであと少しというところまで行って、結局うまくいかずに挫折したりもした。
最近では、コンピュータ関係の本や雑誌に記事を書いたりもしてる。
とにかく本が好きだったし、食事をとるように本を摂取してきた。
そのたくさんの本との出会いの中で、どうしても外せない一冊がある。

ぼくらの気持
ぼくらの気持
posted with amazlet on 05.11.17
栗本 薫
講談社 (1981/08)

このミステリ小説を読んだ中学2年生のあの日、僕の人生は確かに変わった。
それまでにも子供向けのミステリは読んできていた。でも、それがはじめての大人向けのミステリだったのだ。
どうしてそれを書店で手に取ったのかは分からないけど、少女まんが界を舞台にしたミステリということに惹かれた。少ないお小遣いだったけど、購入した。
それは、びっくりするような読書体験だった。
大学を卒業したばかりの「若者」が出てくる一人称のミステリってのも新鮮だったし、その文体もとても自分の好みと合った。
そして、そのロジックと、意外な真相と、最後に残る悲しい気持ち。
子供から大人への途中にいた僕にとって、それは背伸びではあったし、その悲しみをきちんと理解できたのかは分からないけど、とても、胸に響いた。

それから、この「ぼくら」シリーズのファンになり、栗本薫のファンになり、大人向けのミステリをむさぼるように読んだ。
そして、高校一年の時、生まれてはじめて書いた小説は、高校生の一人称の本格(?)ミステリだった。
続けて、何作も小説を書いて、それはほとんどミステリだった。
読むのも書くのも楽しくて楽しくて、それは幸せな日々だった。

大学生になってもその楽しさが忘れられず、入学した大学にはミステリ研究会がなかったので、SF研究会に所属して、そこでSFやらミステリやらを書きまくった。

あの時、あの一冊に出会わなければ、その日々はなかったし、その日々の中で出会ったたくさんの人たちがいなければ、今の僕はなかった。

就職してしばらくたってから、パソコン通信で、栗本薫本人と話をする機会があった(BBS上でだったけども)。
そこで、僕は彼女に言った。
「あなたのせいで僕の人生変わっちゃいました。」
彼女は笑っていたけど、それは僕の本心だったし、あの一冊は確かに僕の人生を変えた。

今、小説家になりたかった夢は叶わずにいるけど、それでも、今もその夢を忘れていない。
あの一冊で変わった僕の人生は、今もあの頃のままなのだ。

願わくば、僕が誰かの人生を変えてしまえるような本が書けたら良いなと思う。

この本は、誰が読んでも人生が変わるなんて思わないけど、僕にとっては大切な大切な僕にとっての「おとっときの一冊」なのだ。


さて、お次は、陽子@PHAT∴LOVESICKさんです。

投稿者 CHEEBOW : 2005年11月19日 15:27 このエントリーを含むはてなブックマーク

[ speakslyly ]
【お知らせ】音楽に関することはこちらのブログで書いています。くじら音楽部::BLOG