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2006年3月11日

ユーザの顔を想像する開発

ここしばらく自宅ではMacを使っています。
で、メーラは標準のMail.appを使っている訳なんですが、これ、結構良い感じの迷惑メールフィルターがついてます。学習型で、これは、迷惑メールなんだよー、とか教えてあげると学習してくれます。
最初は、トレーニングモードとか言って、迷惑メールを直接はゴミ箱に捨てたりしないんですけど、ある程度学習が終わったら、自動でゴミ箱行きって設定に変えることも可能なのです。

で、先日。いつもの通りMail.appを立ち上げたら、「そろそろトレーニングモードは終了してもいいかも」みたいなメッセージが出てきました。
確かに、学習の効果も出て、かなり賢くなったので、トレーニングモードを外してもいい頃だったんですよね。
このメッセージが出たとき、僕はとっても感心しました。
すげぇな、と。

別に設定で、トレーニングモードを外す設定ってのはあるんですよ。
手動でコントロールできるんです。
だから、開発側からしたら、ここでメッセージを出すかどうかってのは、選択できた訳なんです。
なのに、アップルはこのメッセージを表示した。
確かに、実装の労力はそんなにかからない。でも、このメッセージを出さないソフトって多いはずだし、そういうやりかたも十分にありなのです。
けど、アップルは表示した。
それを表示することで、ユーザメリットがあると判断したからだと思います。
そうすることで、ユーザがちょっと便利だなーと考えるだろうと、想像したからなんだと思います。
これってすごい重要なことです。

他にやれる手段があるんだから、それでいいじゃん、ではなくて、もっとこうしたらユーザは幸せじゃん、って考えるその姿勢が素敵なのですよ。

僕も、自分でアプリケーションを作る時は、できるだけ、ユーザの顔を想像します。
今自分が作っている機能でユーザがちょっと笑ってくれたらいいなーとか、少しだけ、幸せな気分になってくれたらいいなーとか。
やってることは、プログラミングなんていう非常にデジタルな作業なんですが、結果として作り出されるアプリケーションは、ユーザにとって、とってもアナログな道具だったりする訳です。
その道具が、多少なりともユーザを幸せにするのなら、そうした方がいいに決まってます。
だけど、それを選択するってのはなかなか簡単には行きません。
納期だって、予算だってあるし、幸せより、それが優先することもある訳です。

でも、やっぱ、僕は、幸せな方がいいと思います。
例えば、ペタろうで付箋紙を捨てるときに泣き顔になることも、PiloWebProでほとんど設定をしなくてもなんとなく切り出しができちゃうように、「あはは」とか「らくちん」とかって思った時のユーザの顔を想像するのです。
そうするとなんとなく楽しくなってくるのですよ。
ただ使うだけじゃなくて、ちょっとだけ使った喜びがあるようなソフト、それを僕は作りたいと常々思っていて、それが、今回のMail.appのメッセージには感じられたのですね。
開発者が(実際に見たことはないけど)その笑顔で、僕に「どうかな?」って言っているようなそんな気がしたのです。

これって、とっても重要だし、それができるからアップルはすごいのかなーと思いました。

投稿者 CHEEBOW : 2006年3月11日 02:19 このエントリーを含むはてなブックマーク

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